以前、勤務していた会社(俗にいうブラック企業)を訴え未払いの残業代100万円をゲットしたことがあります。
結論から言うと、どんな内容でも訴えるつもりの会社が明確な法律違反をしていれば確実に勝てます。逆に言うと明確でない場合は、明確にできれば確実に勝てます。
会社で理不尽なことがあっても「訴えても仕方ない」「泣き寝いりするしかない」「失敗に終わるに決まっている」と思っている方には何かのヒントになるかもしれません。
今回は、そんな残業代未払いで会社を訴えて100万円ゲットした方法を順を追って紹介したいと思います。
ブラック企業を労働基準監督署に訴え未払いの残業代をゲットした方法
まずはじめに先進国と言われている日本ですが、ブラック企業は無数に存在します。特に上場していない中小企業は、法律を知らないのか知らないふりをしているのかわかりませんが、ほぼ何らかの法を犯している会社がほとんどです。
このような状況で全ての会社を訴えていればキリがありません。
明らかに法に反していても訴える会社と訴える気にならない会社があります。判断材料は、ただ一つ、腹が立つか立たないかだろうと思います。理由は人それぞれあるはずですが、大体は会社に腹が立った時、訴えたくなるのではないでしょうか。
かくいう私もそうでした。理由は差し控えますが、とにかく腹が立ったから訴えることにしたのです。今まで安月給で働いてきたのに、明らかに残業代ももらっていないのに「モノ扱いで酷いじゃないか…」と思ったことが発端です。
労働基準監督署
とりあえず、労働基準監督署へ相談に行きました。
各都道府県に労働基準監督署はあり、相談窓口があります。
相談窓口で「残業代が未払いなんですけど、どうしたらいいですか?」というような相談をしました。
すると、担当の職員に言われました。
「内容証明郵便を出して残業代を会社に請求した後、それでも払わない場合、もう1度来てもらっていいですか?」
まだ在職中ですからあまり乗り気になれませんでしたが「専門家がそう言うのだから」と承諾しました。
これで解雇されたとしても労働基準監督署の指示に従った結果ですから、どんな展開になっても、のちのちの言い訳はたちます。
早速、家に帰り、それまでの未払いの残業代を計算しました。
約120万円ほどになりました。
内容証明郵便を会社へ郵送
『未払いの残業代請求』というタイトルで120万円を請求する文章を作成しました。その同一文書の内容証明を3部、郵便局へ持っていきました。手書きでもいいですし、ワードで書いてプリントアウトしても構いません。
内容証明郵便の詳しい書き方は、郵便局のHPにあります。
郵便局員が中身をチェックし、一部を郵便局が保管、一部は会社へ郵送、最後の一部は郵便局の印鑑を押してもらい自分で保管します。
会社へ内容証明郵便が届き、即、解雇
それから、数日後、会社へ内容証明郵便が届きました。
社長に呼ばれました。
社長「これは、なんのつもりだ!?」
私「そのまんまです。計算したら未払いの残業代が120万円ほどあったもので」
社長「不満があるなら来なくていい!」
私「クビということですか?」
社長「当たり前だ!」
予想はしていましたから、特に驚きません。
さて、次のステップです。
再び、労働基準監督署へ
翌日、自分保管分の内容証明郵便を持って再び労働基準監督署へ行きました。
「内容証明郵便を出したら解雇されました」と伝えました。
労働基準監督署の職員はちょっと困ったような顔をしましたが「そうですかあ。また後日、連絡します」みたいなことを言いました。
ですが、1週間たっても何の連絡もありませんでした。
労働基準監督署に電話して聞いてみました。
私「どうなりましたか?」
ただ「まだ」とのことでした。
いつになるかも教えてくれないから、ここから不安になってきました。
これは「ヤバイ」と思いまして、労働基準監督署がダメな場合に次に考えていた1人(個人)でも入れる労働組合に相談へ行きました。
ユニオン
ネットで調べたら近くに『〇〇ユニオン』というものがありました。相談に乗ってくれた方は、元国鉄労組の方でした。これまでの経緯を話しましたら、所属の県議会議員の方が、早速、労働基準監督署に電話してくれました。
それから驚くほど早く事態が進みました。
労働基準監督署が会社へ
もう次の日くらいに労働基準監督署が会社へ調査に行ってくれました。
ユニオンの力か、県議会議員の力か、私が催促しても全く動く気配もなかったのに世の中とはこんなもんだな~とつくづく感じました。
これは後から会社の元同僚に聞いたことですが、タイムカードとか勤務履歴のようなものだけでなく、関係あるのかないのかわからないようなその他の書類まで引っ張り出すような、結構、大掛かりな調査があったようです。
労働基準監督署から会社への警告
その後、すぐ労働基準監督署が残業代の支払いと解雇の件で会社へ是正勧告を出してくれました。
会社からの電話
この後、私のところへ会社の部長から電話がかかってきました。
部長「訴えを取り下げてくれないか?」
私「残業代は払ってくれるんですか?」
部長「お金がない」
しかし、こんな感じで、労働基準監督署の是正勧告では会社は動いてくれませんでした。
1度目の団体交渉
ユニオンの人たちが会社との話し合いの席を設けてくれました。
ユニオンの2人と私の計3人と、会社側は社長・部長・専務の計3人で、3対3の話しあいでした。
会社側は「解雇は取り消す」というか「解雇なんて言っていない」とのことでした。それで「配置転換(部署を移動)する」と言いました。
もちろんユニオンの人が「嫌がらせの左遷じゃないか」と突っ込んでくれました。
残業代については「10万円で…」とかわけのわからないことを言われまして、これで1回目の団交は終わりです。
2回目の団体交渉
2回目で勝負はつきました。
ユニオンの方の、次の一言で全てが決まりました。
「新聞社の友人にこの記事を書いてもらう」
社会的信用が大事な業種でしたから、この一言で会社は頭を下げてきました。
和解条件
正直、はじめから辞めるつもりで訴えましたから、解雇の取り消しは必要ありませんでした。
ですから和解の条件を次のようにしました。
・解雇でいい。その代わりすぐに失業保険がもらえる会社都合で。
この2つの条件で契約書を結びました。
ユニオンへ寄付
契約書をまとめた後、ユニオン側から「強制ではないけど寄付としていくばくか」と言われましたから、1割の10万円ほどを寄付しました。
1人では成功しなかったことですから、この10万円を惜しいとは思いませんでした。
ユニオン脱会
数ヵ月後、県議会議員選挙への投票を呼びかけられました。
一応、お世話になりましたから、この時は感謝をこめて投票しました。
1年後くらいに年会費のようなものを請求された段階で、自然とユニオンに加入していたことを知りました。ユニオンに加入したつもりはなかったのですが、よくよく考えれば労働組合に入ったから団交できたわけです。
しばらく用はないだろうと判断して「お金もないし脱会します」という手紙を送りました。
それから何の音沙汰もありません。
まとめ
今回は、未払いの残業代を会社に請求した話を紹介しました。
まとめると。
2.個人で入れる労働組合(ユニオン)に加入する。
3.労働基準監督署を動かし、是正勧告を会社へ出してもらう。
4.ユニオン主導の団体交渉を数回行なう。
5.100万円ゲットする。
6.1年後、ユニオンを脱会する。
日本の企業は、大体、ブラック企業です。コンプライアンス・法令順守といいますが法律ギリギリもしくは法律を知らずに経営している会社がほとんどです。大企業でも中小企業でも、偽装請負・残業代未払い・給与遅延・長時間労働・最低賃金以下など明らかに違法な企業を散々見てきました。
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