ミルグラムの服従実験をご存じでしょうか。
ミルグラムの実験結果を知ると、職場でのパワハラ・いじめがよりよく理解できます。
今回は、ミルグラムの服従実験がどのようなものであるのか、職場でのパワハラを起因としたイジメとどのような関係があるのかを順を追って紹介していきたいと思います。
ミルグラムの服従実験と職場でのパワハラいじめ問題
まずはじめに簡単にではありますが、ミルグラムの服従実験がどのような実験であるのかを紹介したいと思います。
ミルグラムの服従実験とは?
1960年代、イェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムは服従に関する実験を行いました。
そもそもの発端としては、ナチスのユダヤ人への虐殺があります。
上司であるヒットラーが狂っていたとしても、なぜ部下たちも同じようにヒットラーの指示に従いユダヤ人虐殺に手を染めてしまったのでしょうか。
ミルグラムの実験方法は簡単なものです。
まず、男女の被験者をあらゆる職業から抽出し、被験者には学習と罰についての実験であり参加すると手当てを支給すると伝えました。
被験者は教師役をあてがわれ、隣の部屋にいる生徒役(俳優)が問題を間違えたら電気ショックを与えるように指示されます。
しかし本当は、生徒役は実は俳優でして演技で電気ショックを受けるたびにうめき声をあげます。
つまり、この実験の対象者は教師役である電気ショックを与える側(拷問する側)になります。
教師役の被験者は、生徒が問題をまちがえるたびに電気のボルト数を上げるように指示されています。
生徒役の俳優のうめき声は、ボルト数に応じ大きくなり「実は心臓病があるから止めてください」と懇願する設定です。
普通の人なら「ああ、それなら止めよう」と思うはずですが…。
この実験により浮き彫りになったのは、恐ろしい人間心理でした。
教師である被験者の約65%は生徒役が心臓病があることを告げても、どれほど懇願しても、電気ショックをやめなかったのです。
ミルグラムは、この服従実験により普通の人は、権威者がいるだけで非人道的行為を行い最後まで命令に従うこと、人の良心は状況によって無力になることを証明してみせたのです。
ミルグラムの実験結果は、ナチスだけでなく他の世界中で行われた虐殺事件を説明することに活用されています。
ミルグラムの服従実験は、職場でのパワハラを背景としたイジメ問題にもあてはまるものになっています。
ミルグラムの服従実験と職場でのパワハラいじめ問題
ミルグラムの服従実験は、そのままパワハラ上司がいる職場での陰湿なイジメ問題にもあてはまります。
パワハラ上司が中心となっている職場ではイジメのような状態が起こっています。
よくある例では「パワハラ上司の言う事には逆らえない」という暗黙の了承のなかで、パワハラ上司の求めに応じて教育と称して新入社員をいじめたりします。
普段は良い人なのにパワハラ上司の言う事を盲目的に聞いてしまい新入社員をいじめる人々は、ミルグラムの実験によって導き出された65%という数字とほぼ同じか、それ以上高くなっている可能性もあります。
閉ざされた職場という空間のなかではパワハラ上司はヒットラーのような権威を持っています。
そして部下はアイヒマンなどナチスのように、自分(=パワハラ上司側の集団)に従わない人種をいじめることが日常的になっています。
このような職場にいる方はパワハラ上司の影響力がどこまで及んでいるかにもよりますが、かなり広い範囲なら会社を辞めるしかありませんし、狭い範囲なら部署異動するようにしましょう。
もうすでに職場でのいじめにより精神を病んでしまった方は、是非、労災申請してみてください。
労災申請の手順については下記の記事などを参考にしてみてください。
まとめ
今回は、ミルグラムの服従実験とパワハラ職場でのいじめ問題について紹介しました。
職場での陰湿ないじめを経験したことがある方は、部下の65%が服従するという実験結果に納得することでしょう。
もちろんミルグラムの実験結果を知ったところで職場でのいじめがなくなるわけではありません。
ただ、このような人間心理の闇を知っていることで、パワハラ上司の命令に忠実に服従しいじめに加担している同僚たちが実は心底悪い人間ではなく一般の人々であることを知ることができると思います。
彼らはなぜいじめに加担してしまうのか??
その答えは権威者の指示に盲目的に従う人間は65%いるという社会的動物である人間の集団心理における事実なのです。
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